短編映画 blind を観て
4分ほどの短編映画を見て感動してしまったので紹介させて下さい。
この作品は原発事故によって汚染された東京を描いているそうです。
ネタばれに近いものを含みますので気になる方がいれば、すぐに済むのでので先に映像をご覧ください。
今回気になったのは世界観の統一というか、光と色遣いの美しさです。
無彩色に近い世界で暗い影を落としている中、ひときわ目立った原色の服を着た女の子に出会います。その後白い部屋に入って、ぼやけた回想シーン、ここでも始めは良く見えませんが、ぼやけ具合がだんだんマシになって最後にはかなり鮮明な笑顔が映っています。最後に出てくるのはごく普通の当たり前の色のある世界。
この最後の世界に色がついていることで、今僕らはいい場所にいるんだな。生きているんだな、と思えます。
感動したのは、2:36の ぱぱ のセリフ、僕はこういうのに弱いんで普通に泣いてしまいます。痛々しい傷を持った子供が、誰か分からなかったその少女が主人公の娘であり、自分のことを呼んでいる、そういうことに、その一言に驚きや虚無感の入り混じった気持ちを覚えました。
この一瞬の為に前半の前置き、つまりキャラクターや世界観、この子は何なんだろうという疑問へと誘導していく感じがきれいです。
小学校のころに、「物語文で雨が降っているという描写がありますが、どういう意味でしょう?」という問題を見て、「なんでもないでしょ。どうしてこんな問題に15点もあるんだ、雨が降っているからと言って主人公が悲しんでいるなんて馬鹿らしい」と思っていましたが、雰囲気を作る情景描写には言葉にし得ないものを託す無限大の意味があったんだろうな。などど今になってふと思ってしまいます。
あと、女子高生もガスマスクに装飾をしているのを見て、確かにこんな風になるかもしれない、共感しやすい良い発想だなぁ、と嬉しくなりました。
この映像の主題は反原発だと思いますが、それに関しては今回は特に触れないでおきます。しいて言うとすれば、子供や笑顔をダシにしてどの程度関係あるか分からないもので共感を得て、感情移入させるやり方は上手いけど少しずるいと思います。
読んで下さってありがとうございました。